農業、食、コミュニティと時々落語。

これまでと今とこれから。

インタビューその7

【農場に寄る前に】

農場に寄る前には、地元の行政(以下:FU)に許可を貰いに行かなければならない。これは前回も書いた通りである。ただ、前回は(なぜか)許可を貰うため、同伴のガイド2人にそれぞれお金を払わなければならなかった。そして、全員分の昼食代も払わなければならなかった。しかし、今回はそれらが全部必要無かったのである。その違いはどこからくるのか。詳しく聞いてみると、各地域のFUによって、更に言うと人によって違ってくるそうだ。つまり、お金を求めても求めなくても良い。全ての裁量は個人の倫理によるということである。ともあれば、前回のことには合点がいく。今回のFUのトップの人は自分からすればとても良心的である。お金を取らないばかりか、昼食もご馳走になってしまったのである。あとで、詳しく書くがこのFUのある場所から100キロ以上離れたところからオーガニック農業についてこのFUに学びに来た若い男性と、自分の通訳と自分の4人分をである。



【Thanh Xuân地域】

Thanh Xuân地域はハノイ西端に位置する地域であり、2008年の7月にADDAとVFUのオーガニック農業斡旋プロジェクト(PGS)のモデル地域として1グループ/11人/7700㎡のオーガニック農場をスタートさせた。それから2012年にプロジェクトは終わったものの、2014年の現在に至るまで継続している。今では14グループ/120人/11haにまで規模が大きくなっている。ハノイには独自のオーガニック政策があるが、それがスタートしたのが約2年前。この地域がハノイに属しているにも関わらずPGSを採用しているのはハノイのオーガニック政策が出来る前に既にPGSに属しているからである。



【オーガニック農家数】

120人という数はこの地域全体の農家数が1200人なので10%がオーガニック農家である。更に、オーガニック農業をしたいが、お金の問題や土地の問題で出来ないので政府の援助を待っている農家が277人。合計すると397人もの農家がオーガニック農業をやりたいと言っている。この数は地域全体の30%以上にもなる。この30%以上もの農家がオーガニック農業をやりたいという理由はモデルとなった農場が成功していることが大きい。なぜなら、彼らを見て続々と「彼らのようになりたい」と思いオーガニック農業を志す人たちが多いからである。大きな理由は2つあり、1つ目は、はやり金銭的な面。2つ目は、オーガニック農家が健康的であるという理由らしい。




【14グループ】

この地域にはPGSに沿ったオーガニック農家グループが14グループありオーガニック農家の人数は120人を数える。14グループの内、5グループが自ら出資してまとまった大きな農場を買い、9グループは政府が農地改革(Rearrangement)を行ったのでお金は掛かっていない。農地改革を、もう少し詳しく言うと、ベトナムの農家は各々農地を持っているが広さが充分では無い。そのため、PGSに沿ってオーガニック農業を営もうとするとPGSの規則からはみ出てしまう。そのため、まとまった比較的大きな農場が必要なのである。そこで政府はその要望に応え、9グループに農地改革を行ったということである。



【120人のオーガニック農家について】

120人の内、全ての農家が野菜と果樹が中心である。この地域に向かう道路の片面サイドは大規模な田んぼが広がっているのにも関わらずオーガニックのお米をやっている農家はいないのだという。理由としては、「水」の問題が挙げられる。ベトナムでオーガニック農業をやる際には水質のチェックもされ、井戸を掘って地下から汲み上げた水を使用しなければならない。ご存知の通り、お米には大量の水が必要でありそれも全て流れていってしまうため水の確保が難しいのと、維持費などの諸経費に大量のコストが掛かってしまい小さな農家だと採算が合わないのである。ベトナムにオーガニックのお米農場は存在するのだが、それは大きな会社が運営しているとのことである。



【場所柄】

「道路の片面サイドは大規模な田んぼが広がっている」と上記に書いたが、このこともPGSに沿ってオーガニック農業をやるには適さないらしい。理由は大きな道路沿いは排気ガスなどの汚染が酷いためであるという。



【政府の援助の仕方】

政府からのお金の援助はオーガニック/慣行農業関係なく、今までも一切なかったという。援助の仕方としては種や苗、家畜の赤ちゃん、勉強会、道具や建物などの50%の援助であるという。また地域のFUはお金が無いため、援助したくてもすることがなかなか出来ないので、国のFUに属しているカタチとなり、援助する場合は30%の補助である。



【オーガニック農業を学びに来た青年】

冒頭にも書いたが100キロ以上離れたところからオーガニック農業についてこのThanxuon地域のFUに学びに来た若い男性に話を聞いた。



【なぜオーガニック農業をやりたいのか】

祖父も父も農家であり農業と共に育った。大学の専攻はエンジニアであったが農業に興味を持ち、自分でやるなら「お金を稼げて」「持続可能なやり方」が良いので、オーガニック農業をやろうと思っている。



【なぜ持続可能とかオーガニック農業に興味を持ったのか】

10年以上前、小さいころから本や新聞、テレビのニュースなどをみるのが好きだった。そこでしきりに「食の安全性」が問われていたから「なにが自分にとって、環境にとって1番ベストな方法なのだろうか」と考えていたからである。



【農家に関する情報は翻訳が終わってから…】