農業、食、コミュニティと時々落語。

これまでと今とこれから。

インタビューその4

【いざ農場へ】
前日にワインちゃんが「明日何で農場まで行くの?」と聞いてきたので、「スケジュールにはタクシーって書いてあるからタクシーで行くよ。2日で300ドル掛かるかな」って伝えたら、「え、それ高すぎ。ちょっと待ってて」と言って、結局90ドルくらいで済むことに!ワインちゃん様々。

【農場に行くために必要なもの】

この国では農場に行くためには各地域の行政許可が必要らしく、農場に寄る前に許可を貰いに行く。そこで聞かされたのは許可のためのお金が300,000VDN、農場までの案内ガイドに200,000VDN(2人)、農家グループのリーダーには200,000VDN(3人)、インタビューを受けてくれる農家さんに1人100,000VDN(10人)かかるということである。運転手と通訳さんのホテル代、ガイド(2人)、運転手、通訳さんの全食事代を自分で負担するという衝撃の事実。もちろん交通費が約2,000,000VDNかかるので、予期していた以上にお金がかかることが判明した。そして、お昼ご飯へと向かうのだが、お金を出すことにはそこまで躊躇しないものの彼ら(行政側)の態度が気に食わない。昼ごはんが終わったら調査だっていうのに昼間からお酒はバカスカ飲むし、勝手に注文にしてベトナム語で楽しんでるし、元々計算していなかった人まで呼び出すし、お会計時には平然と「え?全員分払うでしょ?」って顔してくるのが払ったので当初の予定通りの人数分しか払わなかった。あとこの国にはあまり「ありがとう」という言葉が無い。友達だから助けるのは当たり前、むしろありがとうって言わないで欲しいと言われることもしばしばあるが、こういういかにも「これ、当たり前なんで」ってスタンスだとホソゴエ的にはイラッとくるポイントである。
しかし、ここはベトナム。受け入れなければ...!
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【農場】
ベトナムでの初めて農場へ足を踏み入れた。農場までの道のりは車がやっと通れるくらいの幅で坂道になっており、バッファローが列を作って歩いていたり、路中にマーケットが展開されていたりしていた。最初はリーダーの家で4人の農家と1人のリーダーの計5人にインタビュー。5人とも女性のグループであった。細かい質問表を事前に作っておいたので、データとしては満足行くものだと思う。(ベトナム語なのであと翻訳作業が必要)
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【農家のグループ】

PGSに沿っている沿っていないに関係なく、オーガニック農家になる場合はグループを作る必要がある。理由は2つあり、1つ目は作らないと同地域の他の農家がオーガニックではない場合、オーガニック農産物として売ることが難しい。これは日本もアメリカも同じ問題であり、アメリカの場合は何m以上離れていないといけないという規則がある。ベトナム場合、約2m離れていて、尚且柵の様なものが作られていれば良いことになっているが、これが実際に他の農家から農薬などを守っているかというとそうではないことは一目瞭然である。2つ目の農家のグループを作る理由はオーガニック農場の検査方法である。PGSでは農家のグループがお互いにPGSの規制に沿ってオーガニック農業を営んでいるかを見張る。そのため、1人では検査をするには不十分であるので、最低で3人の農家グループを作らなければならない。


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【女性のグループ】

女性だけのグループはベトナムでは珍しいことでないらしく、ざっくり言うと野菜は女性、果樹は男性で分かれているらしい。一番良いのは男女混合になることであると言っていた。それはリスクヘッジが効くことが1番だと思われる。今日のインタビューしたグループは5人であったが、彼女たちの知り合いには最小で3人、最大で10人の女性だけのグループが存在すると言っていた。
このグループはお米と野菜を育てているが、お米はオーガニックでやるのは難しいということで慣行農法である。従って今回は野菜のことが中心である。また、グループのメンバーになるには、オーガニック農業の勉強やオーガニック検査官になるための勉強をしなければならない。とはいうものの、農場で働いているのは最大で10人であると言っており、農場を手伝う際にもやはり勉強はしなければならない。彼らはヘルパーと言っていて、このグループのヘルパーはメンバーの家族に属しているものの、グループメンバーとヘルパーの線引が曖昧であった。また、農場の数は2つであった。
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【女性の夫】

偏見かもしれないが、「農家」というと男性を思い浮かべる。なので、女性たちが農場で仕事sをしている間、夫はなにをしているのかと問うてみた。夫は会社務めをしているというが、月収はそんなに良くなく、家族で生活していくためには大変なため農業を営んでいる。また、農場で働いている限り食べ物には困らない。これは1つの大きなポイントとなるであろう。ちなみにオーガニック農場で働いていれば、1人で生活するのは充分だが、お金持ちになるのは難しいとの見解を話していた。

栽培技術】
害虫の被害にはコンパニオンプランツ、アルコールに唐辛子・生姜・ニンニクを漬けた液を使用。
病気の被害にもアルコールに唐辛子・生姜・ニンニクを漬けた液を使用。
害獣の被害には、ハンティング。みんな狩ることができるらしい。
※写真は蜂(益虫)を呼び寄せるために植えた花
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【賞状】
良い製品を作っているという地域の行政からお墨付きの賞状。
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【給料】

このグループでは、一ヶ月平均して2.5-30,000,000VND/人の収入がある。この金額は約一番低仕事をして貰える金額よりも少し高いくらいである。このグループの1番収入が良い時期は冬である。理由としてはベトナムが暑すぎるので栽培に向かない作物が多いからである。育たないわけではないが、生育が悪い。



【労働時間】

インタビューした時期が9月半ばであり、その時には4:30am-10:30am(6:00am)と4:30pm-10:00pmである。これは沖縄やアメリカでも暑い時は作業するのに危険すぎるので、日中は休むという。(6:00am)と書いたのは、オーガニック農場以外でやることがあれば、そちらに移り畑仕事をするためである。


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【問題点】

土地の問題が1番である。5人で3000㎡のオーガニック農場を運営していて、農地の場所は2つある。土地の問題というのは、農地を大きくするのが難しいということである。他の農家から借りることは、他の農家の収入を奪ってしまうのでなかなか難しいし、オーガニック農場にするには時間が必要である。土地を借りるために政府の援助もあることはあるが、全ての地域に行きわたっているわけではなく、今日インタビューした地域では近い将来そうなるだろうという希望的観測でしかなかった。



【お客さんと出会う】

たまたまこのグループから仕入れを行っている人と居合わせたので、なぜここに買いに来ているのかを聞いてみた。お客さんはハノイセンターで様々な国産の食品を売っているお店のオーナーであり、仕入先のほとんどがハノイ(地元)からである。農産物に限らず、海産物なども売っているという。以前、ユニリーバで働いていて、地方に行く機会が多かったときに「この素晴らしいものをみんなに知ってほしい」という想いから、2011年から独立して現在に至る。現状、取引関係の問題点としては値段が高い方に農家は直ぐ売り先を変えるので、信頼関係を気付けたとしても、裏切られることがしばしばあるという。この日、紫色のトウモロコシを買っていて値段は20,000VDN/kg。
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【今日のまとめ】
想像していた以上にきちんと整備された農場であり、地下水から井戸で水を汲み上げているのと、年間を通して冬以外は雨が降るので水の問題も無さそうである。しかしベトナムが独立した時に日本と同じように農地整備をされ、みんなに均等に農地を配分したことがいまとなっては規模拡大をするにあたってとても大きな問題となっている。また、流通の問題としてもオーガニック農産物を欲しがる人が都市部にいることから今回出会ったお客さんの様に直接買いに来るか、直接売りに行くしか無い。そしてその販売先はほぼ援助が入った売り先なので、競合多数の中オーガニック農産物を販売していかなければならない。今回は見学だけになってしまったが、時間を見つけて一緒に農作業をしたい。
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