農業、食、コミュニティと時々落語。

これまでと今とこれから。

インタビューその3

【まとめ】

今回インタビューしたのは、ベトナム農業大学(今いるところ)を出てから、20年間政府機関で農業関係の仕事をした後に、PGS前回のインタビューではPGSがベトナムのオーガニック農業の規則であるというインタビュー内容になっているが、今回インタビューした方はまた違った意見を持っておられた。そこについて、「前回のインタビュアーと違うんだけど…。」というと「どちらを信じるかはあなた次第、でも私は彼らのオフィスワークとは違い、現場に出て仕事をしている」と言われる。どちらを信じる信じないというわけではなく、オーガニック農業の規則についてバラバラな意見が存在する方がおかしいと思うのだが。



【政府はオーガニック農業に関する規則を持っていない】

アシスタントさんが質問表を送り間違えるという思いがけないミスから質問とは全く関係ない話に発展してしまった。とにかく、現状ベトナムにはオーガニック農業に関する政策は無いらしい。政府はPGSシステムを推奨しているものの、それが国としての方針かというとまた違った話になるのだという。ただ、彼女を信じる根拠はいくつかある。
①まず第一に前回インタビューした人は限りなく政府に近い人物であった。(政府とベトナムファーマーズユニオンは近い関係にある。日本で言うJAと政府みたいなイメージ)その様な人が少しでもイメージが悪くなる様なことをいうだろうか。
②今回のインタビュアーはPGSを作ることに携わっている人物である。おさらいするとPGSはオーガニック農業開発のプロジェクトとしてデンマークNGO:ADDAとVFUの共同で設立された。その時にADDA側としてこのプロジェクトに携わっていたのが、この女性なのだ。
③彼女は政府で20年間働いた後、たいくつになったという理由で政府の仕事を辞めている。
④彼女は農場に出て、現場で一緒に働いている。
つまり、彼女を信じる理由はたくさんあるわけである。今後、調べていくにつれて、徐々に明らかにしていきたい。
ADDAとVFUでの共同プロジェクトは、2005年~2012年に渡ったプロジェクトは終わった後、誰が継続してプロジェクトを続けるかというところで、彼女がボランティアとして今もなお続けている。給料はお金ではなく、野菜を貰うと言っていた。



【PGSシステム】

PGSのシステムはキチンと整備されている。農家がオーガニック農業をやりたいといった場合いくつかの認証ステップが必要となる。
①農家からPGS認証を受けたいと申請する。
②PGSから農家へグループを作るように申請する。
③PGSが農家グループへ勉強会を開く
(この時点で約1/5の農家グループが脱落する)
④オーガニック農家への勉強が終えたら、今度はオーガニック検査官の勉強会を開く。
(農家グループが農家グループへのチェックをするため)
⑤1ヶ月に1回の頻度で検査をして、レポートをPGSに提出する。
(違反者は重い罰だとPGSからの追放と10,000,000VDNの罰金、軽いものだとPGSの6ヶ月間の利用停止と10,000,000VDNの罰金。その間はオーガニック農産物として売ることが出来ない。)




【流通のへの援助】

PGSはいくら良いものを作っていても結局売り先が無いと意味が無いといっていた。そのため、農家に業者の紹介をしている。実際に、過去の事例として都市部に近いところは成功している事例が多く、都市から離れている地域はあまり成功していないという報告がある。その隔たりをなくすためにPGSは頑張っているが、全てのグループの面倒を見るのはとても難しいことだという。


【大学生のボランティア】

PGSには大学生のボランティアが存在し、農業系の大学、経営系の大学など分野の違う大学から学生が集まり、それぞれの専門に分かれた手伝いかたをしているという。現時点で約160人のボランティアが存在する。